第171号 2008年09月19日

[概況]
[景気]
リーマン・ブラザーズ破綻:米リーマン・ブラザーズが15日、破綻した。負債総額約64兆3,600億円で米史上最大。16日、世界同時株安。世界景気へのボディーブローが本格化。
[動向]
<企業>
二輪車販売急伸、インドネシア:インドネシアの二輪車販売が急拡大している。今年は前年比3割増の600万台も視野に入ってきた。中国、インドに次いで頭角を現し始めたという。
<再編>
GM、火の車:GMの負債総額約20兆円、債務超過額約5兆7,000億円、時価総額6,000億円。民間のパートナーは現れず、政府融資を求めて奔走しているという。
<環境>
「無駄」省いた製品投入:工作機械やポンプ、ベアリングなどのメーカーが素材の使用量や部品数を抑えた製品を投入している。原料高対策と環境対策の一石二鳥の努力。
<政策>
新経済成長戦略:経済産業省は、原料高が続く中での「新経済成長戦略」の改訂版をまとめた。省エネルギーと新エネルギーの推進やアジアを中心とする海外市場開拓支援などが主な内容という。
<国際化>
中国では、KYBが高速鉄道車両用制振ダンパー工場を新設09年2月稼働。ベトナムでは、ホンダやヤマハ発動機、スズキが二輪車事業を加速する。シンガポールでは、メニコンがコンタクトレンズ工場を新設09年1月稼働。インドネシアでは、日産自動車がディーラーを12年末までに08年8月比3割増の50社超へ。中国とインドでは、日野自動車がトラックの販売に参入する。韓国では、東レがトウモロコシ原料などの生分解性フィルムを4割増産する。サウジアラビアでは、いすゞ自動車がトラックのノックダウン(現地組み立て)工場を今年度中に設立。エジプトでは、三菱重工業と豊田通商が天然ガス発電所向け蒸気タービン発電機(出力65万kw)の受注内定(約300億円)。カナダとオーストリーでは、森精機製作所がサービス拠点を09年開設。メキシコでは、鬼怒川工業が車体シール部品の新工場を10年メドに建設、河西工業がサンバイザー生産を11年開始。
[機械技術開発]
<新エネルギー> 固体電解質の導電性2倍、リチウムイオン電池
大阪府立大学林晃敏助教は、リチウムイオン電池向け固体電解質の導電性を従来の2倍以上に高める技術を開発した。硫黄、リン、リチウムで出来たガラスを加熱すると導電性を持つようになり、ガラスの組成や加熱のタイミングを最適化して導電性を高めた。現在、リチウムイオン電池の電解質は、漏れやすい液体であるが、安全な固体へ代替する研究が進んでいる。固体にできれば安全性が飛躍的に向上するという。
<環境> 常温プレス加工ができる新マグネシウム合金
産業技術総合研究所サステナブルマテリアル研究部門金属材料組織制御研究グループ千野靖正研究員と京都大学大学院馬淵守教授は、アルミニウム合金並みの常温成形性を示す新マグネシウム合金圧延材を開発した。新マグネシウム合金は、マグネシウム-亜鉛系合金に微量の希土類元素(セリウム等)を添加したもので、熱間圧延により作製される。汎用プレス機で成形加工できるため、飛躍的な低コスト化と高生産性が可能という。
<環境> 低NOxの舶用ディーゼルエンジン
IHI子会社の新潟原動機は、窒素酸化物(NOx)の排出量を現状より2割以上抑える舶用ディーゼルエンジンを開発した。燃料噴射タイミングや噴射圧力、燃焼室の形状を見直した。23日から独ハンブルクで開かれる舶用機器の国際展示会「SMM」で試作機を公開、受注活動を開始するという。
<ナノ加工> ワイヤ状有機半導体の導電性10倍
物質・材料研究機構と静岡大学は、導電性が10倍程度高く製造も容易なワイヤ状の有機半導体を開発した。ベンゼン環が5個つながったペンタゼンにメチル基が付いた分子を真空中でシリコン基板に蒸着すると、直径が20-100ナノ(ナノは10億分の1)のワイヤ状に単結晶が自然と成長する。この分子ワイヤの抵抗率は約1万オームメートルで従来に比べ約10倍電気を通しやすい。折り曲げ可能なフィルム上の有機半導体の導電性が高められるという。
<マイクロ> 超多孔体セラミックス、浄化用フィルター
産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門高性能部材化プロセス研究グループ福島学研究員と中田昌幸元産総研特別研究員らは、氷を利用してミクロン(ミクロンは1/1,000mm)サイズの気孔を持つ超高気孔率セラミックス多抗体を作成した。微量のセラミックスと大量の水を含むゼリー(ゲル)を凍結すると、ゼリー内に氷が形成され、これを乾燥すると、ミクロンサイズの細孔を90%以上有する多孔体セラミックスが得られる。排水リサイクルや排気ガス浄化などのフィルターはじめ幅広い用途が期待できるという。
<自動車> 金の粒子、一酸化炭素(CO)無毒化
米国立標準技術研究所と米リーハイ大学などは、直径が1ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の微小な金粒子が一酸化炭素(CO)などの有毒ガスを無毒化する触媒として有効なことを確認した。透過型電子顕微鏡を用いた特殊な観察法で調べた。自動車の排気ガス浄化などへの応用が期待できるという。
<生産> 酸化物青色蛍光体の開発
三重県工業研究所は、従来の緑色蛍光体である酸化亜鉛にマグネシアを固溶した青色蛍光体を開発した。酸化亜鉛と塩化マグネシウム水溶液にシュウ酸アンモニウム水溶液を滴下して均一に分散させ、沈殿物を洗浄・乾燥させた粉末を1,000℃以上で還元焼成して青色蛍光体を開発した。発光ピークが青色の476ナノ(ナノは10億分の1)を示し、酸化亜鉛へのマグネシア固溶は発光ピークの低波長化を促進することがわかった。低コストの低電圧駆動型フラットパネルディスプレイ用青色蛍光体として期待できるという。
<生産> 「回路」と「組み込みソフト」開発期間を半減
日本IBMは、デジタル家電などの制御用「電子回路」と、電子回路内の半導体に内蔵させる「組み込みソフト」の開発期間を現在の半分にできるシステムを開発した。コンピューター上の仮想環境で両者のモデルを設計、両者の仕様を並行して煮詰めていく。今月中に、コンサルティングを組み合わせて、システムの販売を開始するという。
<ロボット> 「猫型ロボ」開発プロジェクト始動
山口県産業技術センターは、「やわらかロボットプロジェクト」を立ち上げた。2010年度までに猫型ロボットを製作する。4足歩行ロボットを開発テーマに掲げ、動きの素早さやサイズを勘案して猫型とした。組み込み・制御、意匠デザイン、構造・機構、メカトロニクスなど中心に要素技術の研究開発を進める。完成後は、県内企業にノウハウを提供し、地場中小企業の育成につなげるという。
<医用機器> 限りなく本物に近い血管
名古屋大学大学院工学研究科福田敏男教授らは、患者自身の血管と形状が同じ人工血管の開発を進めている。試作品は長さ5cmほど。直径1cm弱だが一様ではない。原料は植物性プラスチックのポリ乳酸で、表面には無数の微細な穴が開いている。患者の血管細胞を、この穴に沿うように培養した上で体内に埋め込む。血管が内部で増殖するとともに、プラスチックは体内で分解されてなくなり、本物の血管になるという。2008年7月から動物実験に着手するという。
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