第180号 2008年11月21日

[概況]
[景気]
7-9月GDP、2期連続マイナス成長:7-9月GDPは、前期比0.1%減(年率0.4%減)と、4-6月期の同0.9%減に続いて、マイナス成長となった。
[動向]
<企業>
OKK、エネルギー関連で補う:自動車部品向け工作機械に強いOKKの土井隆雄社長は、「原子力発電所のタービン用部品など需要が堅調な分野で新機種の開発を急ぎ、自動車部品向けの不振を補いたい」と述べた。
<再編>
富士重、トヨタと協業第1号:富士重工業は、新小型車「DEX」を発売した。トヨタ自動車グループのダイハツ工業からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受け、コンパクトカー市場に参入した。
<環境>
温暖化ガス2年ぶり増:政府は12日、2007年度の温暖化ガス排出量(速報値)が前年比2.3%増の13億7,100万トンになったと発表した。
<政策>
IT活用省エネ技術をアジアへ:経済産業省は、ITを活用した省エネ技術「グリーンIT」をアジア普及する支援に乗り出す。省エネ技術で先行する日本企業に有利な環境を整えていくという。
<国際化>
タイでは、横浜ゴムが現地企業と共同で天然ゴム加工工場を建設09年10月稼働、ダイフクが自動車生産ラインを作る工場を新設し増産する、尾張精機が手動変速機(AT)向け精密鍛造部品シンクロナイザーリングを生産開始した。中国では、豊田通商が車載機器に搭載する組み込みソフトの開発会社を設立した、中央可鍛工業がロボット・建設機機械用鋳物部品の切削専用工場を新設10年稼働。ロシアでは、東洋ゴムがタイヤ販売会社を設立した。サウジアラビアでは、三菱重工業がガスタービン2基を受注した(受注額80-90億円程度)。米国では、JUKIが家庭用ミシンの販売代理店を09年中に130社から300社に増やす。米国と欧州では、ミツミ電機が車載電子部品の販売体制を拡充する。
[機械技術開発]
<新エネルギー> 白金なしで電極触媒、燃料電池向けなど
東京大学尾嶋正治教授、群馬大学尾崎純一教授らは、自動車用電源用などの個体高分子型燃料電池(PEFC)の電極用触媒として球殻状の炭素分子を開発、そのメカニズムをも解明した。白金に比べ2倍以上の性能が見込め、低コスト燃料電池の普及に弾みがつきそうだという。
<環境> マグネ合金のニアネットシェイプ成形
大分県産業科学技術センター高橋芳郎氏、園田正樹氏、重光和夫氏、吉松研一氏、と木本機器工業は、難燃性マグネシウム合金による砂型鋳物製ロボットアーム部品を試作した。量産試作に向けた問題点を抽出したという。
<ナノ加工> 厚さ0.37ナノメートルの絶縁膜、次世代LSI
東京工業大学角嶋邦之・助教らは、絶縁膜材料に酸化ランタンを使って膜厚を0.37ナノ(ナノは10億分の1)メートルと大幅に薄くすることにより、回路線幅16ナノメートルを下回る次世代LSI開発に貢献する。国際半導体技術ロードマップでは、2012年に線幅22ナノメートルが実現し、以降の微細化には絶縁膜の薄膜化が不可欠という。
<ナノ加工> カーボンナノチューブ、基礎へ回帰
産業技術総合研究所畠賢治主任研究員は、カーボンナノチューブの量産化において発生する欠陥などの難問を解決するため、再度基礎に立ち戻って合成メカニズムなどの研究に取り組む。将来、軽くて強力な蓄電池などを実現するには不可欠という。
<マイクロ> 最薄20ミクロンの回路基板
住友ベークライトは、ガラス繊維製の布を大幅に薄くするなどして、従来の1/3の厚さ20ミクロン(ミクロンは100万分の1)の回路基板材料を開発した。多数の回路基板を重ねて使う携帯電話などの小型・高性能化の両立が容易になるという。
<自動車> 車の周囲、立体映像に
富士通研究所は、自動車の前後左右に4台のカメラを搭載して、運転中の自動車周囲を立体映像で表示する技術を開発した。車線変更時の自動車後方や、左折時の左後方など死角になる場所を立体映像で映し出すことができるという。
<生産> 翼面、1回で削り出し
IHIは、5軸の複合加工機を使って、1回で翼面を削り出す加工技術を開発した。ボールエンドミルを使った従来工法に比べ、加工時間を1/4に短縮したほか、安価なフラットエンドミルで加工コストも削減する。蒸気タービンや圧縮機の翼のメーカー、加工業者にライセンス契約で販売するという。
<生産> 「見えない」危険を可視化
産業技術総合研究所徐超男応力発光技術チーム長と上野直宏アダブトロニクスチーム長は、応力発光技術を活用して、構造物の内部欠陥とその危険レベルを可視化した。この技術の特徴は、従来のX線や超音波の非破壊検査に比べて、欠陥の危険レベルを検出できることにあるという。
<ロボット> 一輪ロボ、倒れず快走
村田製作所では、ジャイロセンサーなど十数種類の自社製品を組み込んだ一輪車が倒れずに快走している。一輪車の身長50cm、体重5kg。今後は、自由自在に曲がったりなど、改善を続けるという。
<医用機器> 肺の外科手術不要
日本原子力研究開発機構は、肺の外科手術をせずに、内視鏡で採取した組織に加速器による高速イオンビームを当てて分析することにより、アスベストなどの早期診断を可能にした。全国の大学や研究機関にある加速器を利用して、診断技術として実用化出来るとみているという。
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第179号 2008年11月14日

[概況]
[景気]
10月工作機械受注、激減:日本工作機械工業会によると、10月の工作機械受注実績は前年同月比40.4%減の810億3,100万円と、04年4月以来54ヶ月ぶりの1,000億円割れとなった。
[動向]
<企業>
日本精工、2,000人削減:日本精工は08年下期中に、社員3万人(内非正規社員5,000人)のうち、2,000人を削減する。国外は北米で1,000人削減。
<再編>
九工大、産総研、プトラ大、バイオマス共同研究:九州工業大学は7日、産業技術総合研究所とマレーシアのプトラ大学と3者共同で、油ヤシ(パームバイオマス)を使ったバイオエタノール製造システムを構築すると発表した。
<環境>
中国が原発技術センターを設立:新華社電によると、中国が最近国家核電(原子力)技術開発センターを設立した。大型の加圧水型(PWR)原発の研究開発を行うという。
<政策>
厚労・経産相、介護ロボ体験:厚労省で10日、介護ロボのデモが行われた。ホンダの「リズム歩行アシスト」とセコムの「マイスプーン」を、厚労相と経産相が体験し、好評であったという。
<国際化>
中国とインドでは、蛇の目ミシン工業が小型卓上ロボットなどの販売拠点を増やし拡販する。タイでは、ニフコが自動車向けの樹脂製留め具(ファスナー)の新工場を建設し増産する。インドネシアでは、三浦工業が小型貫流ボイラーやボイラー用薬品などを製造する新会社を12月新設する。アラブ首長国連邦では、三井造船が太陽熱発電プラントを受注した。
[機械技術開発]
<新エネルギー> CO2利用太陽熱給湯器
昭和炭酸は、熱を吸収しやすい流体CO2を使った業務用の太陽熱給湯器を開発した。現在の家庭用太陽熱給湯器の2倍の熱を得ることができる。2011年メドに老人介護施設やフィットネスクラブなどへ売り込むという。
<環境> 毒性低い鉄系超電導物質
物質・材料研究機構と科学技術振興機構は、毒性の高いヒ素やセレンなどを使わない鉄系超電導物質を開発した。新材料は、鉄とテルルの化合物にイオウを混ぜた物質。テルルを20%イオウに置き換えると絶対温度10度で超電導物質になるという。
<ナノ加工> 10ナノ分解能の卓上研削加工機
理化学研究所大森整主任研究員らは、リニアモーターを直進軸に採用して、10ナノ(ナノは10億分の1)メートル精度の分解能を持つ3軸超精密卓上ELID(電解インプロセスドレッシング)研削加工機「リニオン」を開発した。価格は2,500万円からという。
<ナノ加工> わずか10個のアミノ酸から人工結晶
産業技術総合研究所本田真也分子細胞育種グループ長、秋葉俊彦元招へい研究員、岡嶋正和研究員らは、10個のアミノ酸からなる新規タンパク質物質CKNO25を合成し、結晶中と溶液中での立体構造を決定した。人工タンパク質による医療産業への貢献を目指すという。
<マイクロ> 「人体通信」部品を1チップに
アルプス電気は、手を触れるだけでカード決済などができる、人体の表面を通じ電気信号をやりとりする「人体通信」用部品を1枚のICチップに集積化した。2009年に量産するという。
<自動車> 効率5%向上、小型モーター
日立製作所は、鉄心に強度を5倍に高めた材料を使うことにより、機械的出力を5%向上させた小型モーターを開発した。将来は自動車や家電向けだが、まずは産業機器向けに1年後メドに実用化するという。
<自動車> 充電容量1.6倍、鉛蓄電池
森林総合研究所久保智史主任研究員は、木材に含まれる添加剤により、現在広く使われている鉛蓄電池の充電容量を1.6倍に高めた。企業とともに実用化を目指すという。
<生産> サーボプレス加工によるマグネ合金の絞り成形
富山県工業技術センターと北熱は、サーボプレス加工によるマグネシウム合金板の絞り成形技術を確立するため、円筒絞り及び角筒絞りにおける適正加工条件を見出したという。
<ロボット> 手術ロボソフトの標準化
産業技術総合研究所鎮西清行治療支援グループ長と米ハーバード大学などは、手術ロボットとコンピューター、センサーなどをつなぎ、情報をやりとりするのに必要な標準化技術を開発している。 そのためのプロトコル「Open IGT Link」をインターネットで公開して、誰でも改良して使えるようにしている。無償OS(基本ソフト)のリナックスの医療版を目指しているという。
<医用機器> ES細胞から大脳皮質
理化学研究所は、培養の工夫により、万能細胞であるヒト胚性幹細胞(ES細胞)から運動や知覚、言語、人格などをつかさどる大脳皮質組織を作り出すことに成功した。脳の難病原因究明や創薬、再生治療などに役立つという。
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第178号 2008年11月07日

[概況]
[景気]
7-9月期、GM5期連続赤字:米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の08年7-9月期決算は、純損失が25億2300万ドル(約2,500億円)。5期連続の赤字という。 [動向]
<企業>
「現場の知恵」全社員で共有:富士フィルムは、「モノを作る前に人をつくる」ということで、「国内外約100人の評価の高い社員の現場の知恵や仕事の進め方」を全社員で共有する取組を進めているという。
<再編>
NC工作機械と産業用ロボの制御連携:ファナックと三菱電機がNC工作機械と産業用ロボットの制御ソフトの連携を強化している。ファナックはNCと産ロボの制御ソフトを改良、三菱電機はNCと産ロボを連携するソフトを開発し、工場全体の自動化システムの開発を容易にするという。
<環境>
CO2で食糧増産:英蘭ロイヤルダッチシェルは、原油から水素を作る過程で出るCO2を野菜栽培の温室などに供給し、食糧増産とCO2削減の両立を図るという。
<政策>
蓄電池開発最優先、総合科技会議:総合科学技術会議は、2009年度の科学技術施策のうち、経済産業省が概算要求する予算30億円の蓄電池開発を唯一の最高S評価とした。2030年には、1充電500km走行、現在の1/40の低コストを目指すという。
<国際化>
ベトナムでは、新日本製鐵が韓国ポスコの鋼板生産計画に10-20%の資本参加する、浜名湖電装がセンサー類の生産子会社を設立10年6月生産開始。タイでは、ニフコが自動車用樹脂部品を09年夏生産開始。韓国では、三菱重工業が国産ロケット「H2A」で韓国衛星打ち上げる優先交渉権を獲得した。ロシアでは、キトーが手動のチェーンブロックやレバーブロック市場に参入する。ブラジルとサウジアラビアでは、川崎重工業が船舶を360度水平方向に進めることができる全旋回式推進装置「レックスペラ」を受注した。
[機械技術開発]
<新エネルギー> 太陽光発電の安定供給実験
清水建設、明電舎、中国電力、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、一般家庭約40世帯分に当たる120kwの太陽光発電システムとディーゼル発電などを組み合わせて、中国浙江省の杭州電子科技大学に設置した。自然任せの不安定な電力供給の不具合やそれを抑える条件を探るという。
<新エネルギー> 風力発電用大型ギアを高精度加工
三井精機工業の横型MC「HU80A-5X」は、世界規模で建設ラッシュの風力発電機大型ベベルギアを高精度加工できる。また、航空機エンジンなどのインペラ(回転翼)にも向いているという。
<環境> 工作機械、3台を1台に
シチズンマシナリーは、自動車部品向けに三つの複合機を一つのボディーに組み込んだ数値制御(NC)加工機を開発した。新加工機は加工工程の短縮で加工時間を従来の約1/3、消費電力も大幅に低減できる。2010年の販売を目指すという。
<ナノ加工> 金属錯体型有機ナノチューブを大量製造
産業技術総合研究所小木曽真樹研究員は、ペプチド脂質をアルコールに懸濁させた後、金属水溶液を加えるだけで、金属錯体からなる有機ナノチューブを大量製造できた。このタイプは、触媒や電子材料などの幅広い用途が期待でき、用途開発のためのサンプル提供が可能という。
<マイクロ> 薄膜材の折り曲げ自在
産業技術総合研究所吉田知也研究員は、イオン照射により、どんな材料を使った薄膜でも自在に折り曲げられる薄膜加工技術を開発した。1ミクロン-数100ミクロンオーダーの立体加工ができる。次世代薄型パネルとして期待される電界放出ディスプレー(FED)の電子源など、2-3年後にも新型FEDの実用化を目指すという。
<自動車> 高速移動でも通信可能、ITS
情報通信研究機構は、現在テレビのアナログ放送に使われている700メガ(メガは100万)ヘルツ帯の電波を利用することで、自動車など高速移動しても途切れず無線通信ができるデータ伝送方式を開発した。高度道路交通システム(ITS)として、自動車同士の相互位置確認や衝突防止に役立てるという。
<生産> 結晶微細化による成形性、マグネ合金
茨城県工業技術センターは、マグネシウム合金の結晶組織を微細化することで超塑性を発現させたり、成形加工性を向上させる研究開発を行っている(平成18-20年度)。
<生産> 複数の写真から立体画像作成ソフト
広島市立大学椋木雅之准教授は、複数のデジタルカメラの写真をもとに立体画像を簡単に作成するソフトウェアを開発した。企業と共同で実用化を目指すという。
<ロボット> 遠隔ロボでリンパ節摘出に成功
東京慈恵会医科大学高次元医用画像研究所は、九州大学からタイのチュラロンコン大学にある遠隔操作ロボットを操作して、軟らかいゴムのような内視鏡を口から入れて遺体からリンパ節を摘出することに成功した。
<医用機器> 生体観察、染色不要に
大阪大学河田聡教授らは、2種類のレーザー光を試料に当てた時に出る散乱光を利用する「高速3次元分子分光顕微鏡」により、生物組織を染色しないで、動画で観察することに成功した。医療診断や生物学の研究に利用できるという。
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第177号 2008年10月31日

[概況]
[景気]
工作機械「キャンセル急増」:森精機製作所森雅彦社長は、「上半期キャンセル300台、特に米金融危機1ヶ月で急増。中長期で見れば、2009年が底で2010年から回復に向かう」と述べた。
[動向]
<企業>
アイダエンジ、納期3割短縮:プレス機械大手のアイダエンジニアリングは、プレス機械の部材を国内外工場で分担生産し、一か所の工場に集めて組み立てる方式で、2011年までに納期を2-3割短縮する。
<再編>
「環境」で国際連携、商用車:ハイブリッド開発で、三菱ふそうトラックバスは独ダイムラーと米フレートライナーと連携。モーター開発とコストダウンが主目標。低公害エンジン開発では、日産ディーゼルがスウェーデンボルボと提携。
<環境>
国内排出量取引開始:政府の地球温暖化対策本部は、国内排出量取引の参加企業の受付を21日に開始した。企業自ら目標を設定でき、参加も任意という。
<政策>
日本、ISO常任国へ:国際標準化機構(ISO)の多くの事項について決定権を持つ技術管理評議会(TMB)において、日本が2010年に常任国となることが決まった。2010年に、TMBの常任国が12ヶ国から14ヶ国になるに伴う措置という。
<国際化>
中国では、虹技が自動車プレス金型素材を09年3月にも5割増産、トヨタ自動車が7番目の組み立て工場を設け年産100万台体制へ、住友ゴム工業がトラックバス用タイヤを増産10年末に07年比3.5倍の3,500本/日へ。インドでは、横河電機が火力発電所向け制御システムを受注した、ユニプレスが合弁で車体骨格部品工場を建設10年稼働。タイでは、ホンダが「アコード」の生産を開始した、田中精密が4輪車用エンジン部品の生産能力を09年2月メドに75%増の月70万個へ。マレーシアでは、宮津製作所が自動車用プレス金型を増産3年以内に倍増の年100個へ。台湾では、山武がコントロールバルブの保守拠点を開設した。オマーンでは、神鋼商事と宇部興産機械は鉄鋼スペレタイジングプラントを受注した(150-160億円)。フィンランドでは、三菱重工業が大型倉庫作業車メーカーのロックラーをTOB(株式公開買い付け)し子会社化する(取得価格50億円)。仏では、東芝が原子力発電所の補修工事を受注した(約125億円)。独では、三菱重工業が風車の設計事務所を1月立ち上げた。高松機械は、独に工作機械の販売子会社を09年3月期中に新設、インドネシアには保守・管理事務所を09年3月期中に設ける。
[機械技術開発]
<新エネルギー> 白金不要燃料電池の仕組み解明
北陸先端科学技術大学寺倉清之・特別招聘教授らは、シミュレーションにより、白金の代替として炭素材料を使った場合に固体高分子型燃料電池の触媒として働くメカニズムを解明した。この結果を基に、燃料電池のコストダウンを図るという。
<環境> 炭素繊維で軽量化、新交通システム
IHIと韓国HFGは、車両本体に炭素繊維複合素材を採用し、金型で一体成型する新交通システム用車両を開発した。車体の軽量化により、消費電力の削減につながるという。
<ナノ加工> 大面積ガラスにナノ構造
東芝機械、早稲田大学庄子習一教授と小野潤・准教授らは、ナノインプリントと呼ばれる型を基板に押し当てる方法で、ガラス表面に幅が数十ナノ(ナノは10億分の1)メートル微細構造を刻む装置を開発した。1-2cm角の型の位置を変えて押し当てることにより、30cm角のガラス基板上にナノ構造を刻むことができるという。
<マイクロ> 小型センサーで位置計測
日立製作所は、レーザー光の反射を利用して超微細な物体の位置を測定できる小型センサーを開発した。縦5cm、横2cm、高さ1.4cmの箱型センサー。電子顕微鏡や半導体などの微細加工装置に簡単に積み込める。2-3年後メドに電子顕微鏡向けに実用化するという。
<自動車> ボールネジの小型化で燃費改善
NTNは、鋼球の大きさの設計を見直すことで、ボールネジの強度を維持しながら小型化を実現した。モーターで動くボールネジを使うと、吸気バルブの開閉を連続的に調節でき、微細制御により燃費が1割向上するという。
<自動車> 炭素繊維の車台成型、10分内に
東レと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、炭素繊維樹脂の硬化速度を早めたり、金型に複数の注ぎ口から流し込むなどして、車台(プラットホーム)の成型時間を従来の160分から10分以内に大幅短縮した。鉄製に比べ約30kgが15kgへ.と半減。コストは鉄製より2-5倍高。2010年メドにボンネットなどのパネル部材へ。2012-13年に車台への採用を目指すという。
<生産> 温度上昇抑えた軸受け
ジェイテクトは、内外輪に角度をつけたり軽量高強度樹脂を使用したりして、工作機械向けに温度上昇率を抑えた軸受けを開発した。摩擦が少ないので、高速回転するマシニングセンター(MC)などで、焼きつけが起こりにくいという。
<生産> 高精度な大型ミラーとレンズ
岡山県工業技術センターは、ハワイ本島マウナロア山で天体観測が行われている、東京大学宇宙線研究所の望遠鏡の径590mmアルミ凹面ミラーとその球面収差を補正する径430mm-370mmアクリル製非球面レンズ3枚を作成した。ミラー重量による加工機のたわみ補正とアクリル部材のそりなどの問題を解決したという。
<ロボット> 人とロボ共存の安全化
産業技術総合研究所中坊嘉宏研究員は、高速ビジョンセンサ(カメラ)を用い、人の存在を確実に検知しロボットを制御する国際安全規格に準拠した安全システム技術を開発した。人間とロボットが共存するセル生産システムなどで活用できるという。

第176号 2008年10月24日

[概況]
[景気]
9月工作機械受注20.1%減:日本工作機械工業会によれば、9月の工作機械受注(確報値)は前年比20.1%減の1,135億400万円で4ヶ月連続の前年割れとなったという。
[動向]
<企業>
ブラザー、中国にメンテ拠点新設:ブラザー工業は、2004年開設の上海拠点についで、広東にも工作機械のテクニカルセンターを12月に開設する。
<再編>
マツダ、再び独立へ:業績不振にあえぐフォードは、保有するマツダ株式(33.8%)のうち、20%程度を売却する方針。マツダは、再び一人立ちすることになる模様。
<環境>
2100年、国内の原発231基:日本原子力研究開発機構は、「2100年原子力ビジョン」をまとめた。国内の全エネルギーに占める電力の比率は24%から62%へ、化石燃料の比率は75%から28%へ。発電量に占める割合:核分裂53%、核融合14%、石炭13%、水力8%、天然ガス6%、新エネルギー6%、石油0%。一方、原子力発電炉は、核融合炉33基、小型原発の高温ガス炉120 基、軽水炉78基の計231基という。
<政策>
核廃棄物受け入れで地域振興:経済産業省資源エネルギー庁は、高レベル放射性廃棄物の最終処分場確保に向け、具体的な地域優遇策をまとめた。160に及ぶ地域振興策が提案されているという。
<国際化>
中国では、オギハラはプレス金型による自動車部品生産の合弁会社を09年5月操業へ、富士テクニカが自動車用プレス金型生産を今秋にも開始。ベトナムでは、ヤマハ発動機が二輪車工場を稼働開始した。韓国と中国では、日本ペイントが前者では今月から自動車用塗料を、後者では10年10月から自動車や鉄鋼向け表面処理剤を生産する。東南アジアやBRICSでは、日東精工が自動ねじ締め機などを拡販する。パプアニューギニアでは、千代田化工などが液化天然ガス(LNG)プラントの基本設計を受注した(数十億円)。アラブ首長国連邦(UAE)では、日産自動車が合弁販売会社を11月に設立。トルコでは、三井物産が自動車用鋼板加工の合弁会社を設立した。ロシアとドイツでは、宮津製作所が自動車用プレス金型の受注活動を開始した。メキシコでは、日立化成工業が自動車用ブレーキパッド工場を建設09年6月量産開始、三洋電機が太陽電池組み立て工場の生産能力を2.5倍の5万kw/年へ、ブリジストンがタイや補強材カーボンブラック新工場の量産を開始した。米国では、日立製作所が部品大手のイートンコーポレーションからハイブリッドシステムを受注11年までに出荷。
[機械技術開発]
<新エネルギー> 太陽熱発電のプラント建設
東京工業大学玉浦裕教授、コスモ石油や造船会社などは、アラブ首長国連邦(UAE)の脱化石燃料特区「マスダール・シティ」において、太陽熱で溶融塩を加熱し、その熱で発電する太陽熱発電プラントを建設する。太陽熱発電は太陽光発電に比べて低コストが特徴。今後は、100億円の追加出資を受けて20メガ(メガは100万)ワット級のプラント建設を目指すという。
<環境> 高速・省電力の歯車加工機
三菱重工業は、振動を打ち消し低摩擦のサイレントシャフトと呼ぶ主軸を使うことで、主軸が毎分2,000回の超高速往復運動する歯車加工機「SE15A」を開発した。ドライカットのため切削油不要で切削油ポンプがいらないため消費電力が約20%低減したという。2009年度までに75台の販売を目指すという。
<ナノ加工> 刃先1ナノの切削工具開発へ
ビーティーティーと名古屋工業大学、アイティーテクノは、炭化ケイ素(SIC)の単結晶を材料にして刃先先端部の幅を1ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の切削工具を開発する。加工精度の向上と長寿命化を図り、3年以内の製品化を目指すという。
<ナノ加工> 原子1個単位で埋め込み
大阪大学杉本宣明特任講師と森田清三教授と物質・材料研究機構は、原子間力顕微鏡の探針を材料表面に近づけると表面と探針の間で原子が1個づつ入れ替わるのを発見した。探針のシリコン原子と表面のスズ原子を1個づつ入れ替えて、スズ材料表面にシリコンの文字「Si」を書いたという。
<マイクロ> デジタル一眼レフ大幅に小型化
パナソニックは、「ミラーレス構造」等光学部品を減らすなどして、大幅に小型化したデジタル一眼レフカメラ「LUMIX DMC-G1」を10月末出荷する。ボディーの大きさ幅124.0mm、奥行き45mm、高さ83.6mm。重さわずか385gr。
<マイクロ> 難削材微細加工用卓上複合加工機
産業技術総合研究所栗田恒雄研究員は、電気エネルギー加工・レーザー加工・電解加工・機械加工ならびにそれらの複合加工を、卓上の1台の加工機で実現している。一例として、レーザー加工による切削と電解加工によるバリ取りを組み合わせて、径100ミクロンのステンレス製小径管にらせん模様などの微細加工を施している。血管拡張用のステント製作などがメインターゲットという。
<自動車> 環境対応の超小型車
トヨタ自動車は、超小型の新型車「iQ」を11月から発売する。全長は軽自動車より40cm短い2m96cm。定員4人、全高1.5m、排気量996cc、最高出力68馬力/6,000rpm、10・15モード燃費23.0km、走行距離1km当たりCO2排出量99gr。価格150万円。
<生産> CAE解析の最適化手法
群馬県立産業技術センター福島祥夫氏、小宅勝氏、須田高史氏、久米原宏之氏は、試作費を削減するためにCAE(Computer Aided Engineering)のソフトを開発している。当センターで開発した構造解析ソフト、湯流れ解析ソフトと3DCAD (Computer Aided Design)とを連携して最適化プロセスを構築したという。
<ロボット> 金型の仕上げ用ロボットの開発へ
メイホーは、鏡面加工など金型製造の仕上げ作業を自動化するロボット開発に乗り出す。加工面の凹凸を力学センサーで検知し、やすり部分の圧力を自動制御して、加工精度10ミクロン以内を目指すという。
<医用機器> アルツハイマー関連物質を可視化
浜松医科大学瀬藤光利教授と三井生命科学研究所は、対象物にレーザーを当てイオン化して観察する「質量顕微鏡」により、アルツハイマー病に関わる物質の脳内分布を見ることに成功した。アルツハイマーのメカニズム解明や治療に役立つという。
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