第183号 2008年12月12日

[概況]
[景気]
11月工作機械受注、62.2%減:日本工作機械工業会が9日発表した11月工作機械受注(速報値)は62,2%減の約516億円となり、前月(40.6%減)からさらに悪化し、激減した。
[動向]
<企業>
アイダエンジ、欧州の車2社から初受注:アイダエンジニアリングは、欧州の自動車メーカー2社から複数の工程をこなすサーボプレス加工ラインを相次いで受注した。2010年までに納入する。欧州メーカーが日本の同ラインを採用するのは初めてという。
<再編>
新日石、新日鉱と経営統合:新日本石油と新日鉱ホールディングス(HD)は4日、経営統合を発表した。収益力が高い海外の油田・ガス事業で海外メジャーと対抗するため。売上高13兆円と世界8位の石油会社になるという。
<環境>
高速鉄道、省エネ車両で:川崎重工業は時速250kmの高速車両、日立製作所は同200kmのハイブリッド機関車を開発して打って出る。鉄道会社に代わり、メーカーが自主開発するのは初めてという。
<政策>
太陽光発電で世界戦略:経済産業省は、太陽光発電を産業分野として育成・強化していくための戦略づくりに乗り出す。国際競争力の向上に向けて、中長期的な方向性を打ち出すという。
<国際化>
中国では、アルバックが発光ダイオード(LED)の現地メーカーにクリーンルームを設置し実機も導入して 評価できる体制が09年3月稼働。台湾では、トプコンが発光ダイオード(LED)の販売事務所を開設した、デイスが同上の新たな販売代理店と契約した。インドでは、クボタと住友商事が農業機械販売会社を12月に設立する。ベトナムでは、クラレが日本国内や中国の生産を減らし賃金の安い同国での外注先を増やす、日産自動車が合弁で販売会社を設立年内稼働開始。シンガポールと台湾では、三菱電機が両国の通信会社から次期通信衛星「ST-2」を受注した(受注額約130億円)。オランダでは、積水化学工業が自動車ガラス用樹脂材料の生産能力を倍増する。ベルギーでは、住友電工が光ファイバーケーブルメーカーのオプティカーベルに40%出資する。米国では、富士フィルムが病院の放射線科の作業を効率化するメーカーのエンピリックを買収した。カナダでは、トヨタ自動車が第2工場の多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」生産を最大能力の半分の年産7万5千台で稼働させた。コロンビアでは、日野自動車が中堅・小型トラックの生産工場を稼働させた。
[機械技術開発]
<新エネルギー> 電力変換効率18.5%のCIS系薄膜太陽電池
スウェーデン・ウプサラ大学オングストローム研究所とソリブロリサーチなどは、薄さ0.4ミクロン(ミクロンは1/1,000mm)のカルコパイライト(CIS)系薄膜を用いて、電力変換効率18.5%以上の太陽電池を開発した。シリコン以外の薄膜太陽電池としては世界最高水準。太陽電池の世界シェアで先行する日本、ドイツを追撃するという。
<新エネルギー> 3万戸へ地熱発電
東北電力柳津西山地熱発電所は、地質探査や抗井掘削技術を活用して、地下2kmのマグマが熱した蒸気でタービンを回し、約3万世帯分の電気を送っている。地熱発電の1kw時当たり単価は約15円で、原子力5.9円、石炭火力6.5円、石油火力10.2円と比べて割高。原価はゼロなので、減価償却が少なくなる15年後には5円を切る。火山国日本の地熱発電の潜在能力は、インドネシア、米国に次いで3位。現在、発電能力の0.2%だが、最大能力で発電すると原子力発電(約5千万kw)の1/3に達するという。
<環境> 高性能CO2吸着材
産業技術総合研究所前田雅喜主任研究員と犬飼恵一主任研究員は、ゼオライトの2倍以上の吸着性能をもつ、多孔質のヒ非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる二酸化炭素(CO2)吸着材を開発した。安価な工業用原料から合成できるので、工業レベルの生産が可能という。
<ナノ加工> 10ナノ以下の立体配線
東京工業大学彌田(いよだ)智一教授と伊藤香織助教</a>らは、自己組織化を利用した溶液プロセスにより、直径が10ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の極細金属を立体的に配線する基礎技術を開発した、大規模集積回路(LSI)の集積度向上に役立つという。
<マイクロ> インクジェットで微細画素
リコーは、インクジェット方式の印刷技術で、縦横159ミクロン(ミクロンは1/1,000mm)の微細画素を作成した。現在のエッチング(食刻)などの半導体製造技術と比べて、製造コストは1/2。3-4年後を目標に、電子ペーパー市場に参入することを目指すという。
<自動車> 自動車用耐熱マグネシウム部品の開発
広島県西部工業技術センターは、エンジン用マグネシウム部品の鋳造シミュレーションを開発し、鋳造割れの発生位置を正確に予測する方法を確立した。今後、試作品形状で鋳造試験を行い予測技術の実用性を高めるという。
<自動車> 高強度耐熱マグネシウム合金を鋳造で量産
熊本大学、熊本テクノ産業財団、三井金属、日産自動車などは、軽量で250℃の高温下でもアルミ合金の2倍の強度を持つ直径22mmの耐熱マグネシウム合金の丸棒材を鋳造で量産する技術の実用化にメドをつけた。自動車などの軽量化素材として12月中旬からサンプル出荷するという。
<生産> 刃先交換チップの寿命2倍に
タンガロイは、刃先形状を大きなすくい角にして切削抵抗を低減し、刃先に特殊コーティングして摩耗を抑え、刃先交換チップ「DML形」の寿命を2倍に向上した。熱処理で硬くなったプリハードン鋼などの鋼材を切削できる。金型加工メーカー向けに、2009年度3千万円の売り上げを目指す。価格は1個、851円-1,596円。
<ロボット> 腕に装着、動き伝達
ベルギー・ブリュッセル自由大学は、7つのサーボモーターとセンサーを搭載したインターフェースユニット「SAM」を開発した。当初は仮想的に物体の抵抗を腕に伝える目的で制作したが、腕の動きを出力情報として利用できるため、ゲームやロボット操縦など用途は広いという。
<医用機器> 生きた細胞を観察する走査電子顕微鏡
産業技術総合研究所佐藤主税構造生理研究グループ長、小椋俊彦主任研究員、日本電子須賀三雄クレアプロジェクトリーダー、西山英俊副主任研究員、山形県工業技術センター渡辺善幸博士は、厚さ100ナノメートル(ナノは10億分の1)の薄膜中で培養している細胞に裏側から電子線を当て、その反射電子により分解能8ナノメートルで観察できる走査電子顕微鏡を開発した。大学や研究機関をはじめ創薬や医療現場での利用を期待したいという。
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