第195号 2008年03月06日

[概況]
[景気]
1-3月が底、鉄鋼生産:日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長は25日の定例記者会見で、鉄鋼業界の生産水準を「1-3月期が底」と予測した。自動車などの在庫調整の圧縮が進むという。
[動向]
<企業>
航空機MCを磨く、牧野フライス製作所:牧野フライス製作所は、航空機向けマシニングセンター(MC)の競争力向上に動いている。主軸の高回転化や高剛性の制御技術などを武器に、チタン合金の高効率切削などで、さらなる市場開拓を目指す。
<再編>
ソフトの共通化、車・電機73社:トヨタ自動車や日立製作所など自動車・電機大手73社は、エンジンやブレーキなど車を電子制御するためのソフトを共通化する。年内に標準規格をまとめ、2010年にもトヨタが採用して発売する見通しという。
<環境>
ソーラー競争本格化、日本市場:台湾の薄膜太陽電池メーカー・サンウェルソーラーは、年内にも大手商社を通じて日本国内での販売を開始する。世界第3位の中国メーカー・チャイナライドソーラーも日本市場に参入するという。
<政策>
価格2倍、太陽光電力購入:経済産業省は24日、太陽光発電の余剰電力を従来の2倍の価格で電力会社が購入する制度を2010年から導入すると発表した。1kw時当たり50円弱。
<国際化>
インドでは、パナソニックが09年度から3年間で290億円を投資して白物家電の工場や研究開発拠点を設立する。ロシアと中央アジアでは、三菱ふそうトラック・バスが年内にもトラック市場に参入する。ポルトガルでは、日産自動車が電気自動車に使う大容量リチウムイオン電池を量産することで同国政府と調整に入った。米国では、日立造船が原子力発電所向け使用済み核燃料貯蔵容器20基を受注した(受注額10億円程度)。ブラジルとインドでは、積水工機製作所が自動車用樹脂部品金型のメンテナンス拠点を3月までに開設する。
[機械技術開発]
<新エネルギー> 大容量のリチウム-空気電池
産業技術総合研究所周豪慎研究グループ長と王永剛特別研究員は、有機電解液と水性電解液を組み合わせた大容量のリチウム-空気電池を開発した。連続5,000mAh/g(空気極の単位質量当たり)の放電を実現した。電気自動車の普及のためには、現在の実用レベルの6-7倍のエネルギー密度が必要となる。理論上、リチウムイオン電池よりもはるかに大きいエネルギー密度を有する金属リチウム-空気電池が注目されているという。2009年3月31日に京都で開催される電気化学会で発表される。 <新エネルギー> 量子ドット型太陽電池の開発
東京大学先端科学技術研究センター岡田至崇准教授らは、化合物半導体のインジウム・ヒ素で直径20ナノ(ナノは10億分の1)メートル、高さ5ナノメートルの量子ドットを作成し、それらを窒化ガリウムヒ素の中間層に埋め込む「量子ドット型太陽電池」を開発した。光電変換効率15.63%と従来比2倍以上に向上した。理論上は光電変換効率が60%超と高く、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして、研究が始動したという。
<環境> チューブ配置で砂漠緑化
東レとミツカワは、生分解性ポリ乳酸樹脂チューブを使った砂漠緑化技術を開発した。直径10cmのポリ乳酸チューブに砂を詰め、数メートル間隔で格子状に並べる。チューブが風よけとなって砂の移動が少なくなり、種が飛ばされず自生出来るようになる。両社は07年に、中国の内モンゴル自治区に1万平米の土地2ヶ所で、種をまかずに実証実験に着手。1年後に、チューブ設置面積の2割以上が自然緑化したという。
<環境> 日本の風に対応した風車
富士重工業と日立製作所は、下から上に吹きあがってくる日本特有の風を効率よく受けるため、回転翼をタワーの風下に配した「ダウンウィンド方式」の風車を開発した。回転翼が地表面に向かってやや斜めになっており、回転翼面が吹上風の方向に正対して受ける構造にしている。世界にも例がないという。
<ナノ加工> ナノを超えるレーザー加工
自然科学研究機構分子科学研究所大森賢治教授らは、レーザー光を使ってピコメートル(ピコは1兆分の1)レベルの微小加工に成功した。被加工物はヨウ素原子。このサイズでは原子は粒ではなく波の状態で存在し、この波の形状を変化させたことを「加工」と位置付けている。波の形状の変化により情報を記憶する新しいメモリー開発などにつながるという。
<マイクロ> 超音波利用の微細深穴加工
徳島県立工業技術センター電子機械部小川仁氏は、工作液に超音波振動を与えて切りくず排出を促すことにより、0.1mm工具による深さ2mmの高アスペクト比20(穴深さ/穴直径)における微細穴あけに成功した。難削材のステンレス鋼SUS304について、直径0.01mm(市販最小径ドリル)についても、超音波による安定加工を検証できた。半導体電子基板、撚糸、燃料噴射、医療用のノズルの穴あけへの活用が期待できるという。
<自動車> 燃料電池車の寒冷地試験
日産自動車は、出力を高めた固体高分子型燃料電池(PEFC)車の寒冷地試験を開始した。PEFCは、寒冷地では起動しにくい特徴があるため、気温が氷点下20度前後まで冷え込んだ環境での起動状態を検証する。2010年代半ばにも実用化する考えだという。
<生産> 複雑な配線を一本化
産業技術総合研究所河西勇二主任研究員は、北九州産業学術振興機構、半導体技術センターは、産業機器内の多数のセンサーやアクチュエーター等と制御装置を1本の通信線で接続する技術を開発した。ノイズに強く、高速で安価な省配線化技術であることを検証した。産業用ロボット、車載電装品、ヒューマノイドロボットなどの生産性の向上、小型軽量化、メンテナンス性の向上などが期待できるという。
<ロボット> 筋肉の伸縮、瞬時に表示
東京大学中村仁彦教授らは、運動時に伸縮する筋肉の活動状態をリアルタイムで表示する技術を開発した。赤外線カメラや力センサー、筋電計で動きを感知し、筋肉が収縮する部分だけを画面上に赤く表示する。健康管理やトレーニングのほか、筋肉が衰える病気の診断などに応用できるという。
<医用機器> 電極の針を脳にセット
順天堂大学北沢茂教授と慶応義塾大学は、サルやヒトの脳で放出される神経伝達物質「ドーパミン」を測定する電極針を開発した。電流量で化学物質を特定する「ボルタメタリー」という方法で、電極針周囲のドーパミンを測る。電極の長さ15cm、太さ0.3mm、先端部の太さ0.05mm以下なので、電極針を差し込んでも周囲の組織を傷つけない。ドーパミンが不足して発症するパーキンソン病などの治療に役立てたいという。
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