第197号 2009年03月20日

[概況]
[景気]
景気回復2010年度以降に:2009年度は「世界経済の悪化を受けて、下振れ圧力が強まり、景気の本格的回復は2010年度以降にずれ込んでいく」(大和総研)との観測が広がっている。
[動向]
<企業>
工作機械各社、研究開発に力:工作機械大手各社は研究開発の強化維持に力を注いでいる。需要回復期に優位性を確保するためという。
<再編>
工作機械の不安、電気自動車元年:2009年電気自動車(EV)の登場は、ガソリンエンジンを切削加工する工作機械メーカーの存立基盤を危うくする。電気自動車に商機を見出す努力とともに、その他の可能性を模索する時期に来ているという。
<環境>
発電効率と出力、世界最高:三菱重工業は、発電効率と出力が世界最高のガスタービンを開発した。発電効率は60%と2ポイント向上。出力46万kw。二酸化炭素(CO2)も数%減らせる。世界シェア30%をめざすという。
<政策>
「低周波音」が障害、風力普及:風力発電の普及に思わぬ壁が立ちはだかろうとしている。施設の近隣に暮らす住民など頭痛やめまいなど、体調不良を訴えるケースが報告され、立地選定などにも影響を与え始めているという。
<国際化>
中国では、リーテムが産廃を集め鉄や銅を取り出して再資源化するリサイクル工場を建設7月稼働予定。ベトナムでは、日本電産が自動車部品向けダイカスト製品の製造子会社を設立10年4月生産開始。カタールでは、千代田化工建設が国営カタール石油などガス関連プラントの改修・保守業務の長期契約を結んだ(請負契約額約300億円)。スロバキアでは、明輝が樹脂成形品金型の生産子会社を4月メドに設立する。
[機械技術開発]
<新エネルギー> 容量3倍、リチウムイオンキャパ
東京農工大学と日本ケミコンなどは、従来の3倍の電気を蓄える新型のリチウムイオンキャパシターを開発した。電極のチタン酸リチウムを5-50ナノメートル(ナノは10億分の1)の結晶にして、ファイバー状の炭素材料と混ぜたところ、大容量の蓄電と高速充放電(12秒)を可能にした。新電池は、リチウムイオン電池と二重層キャパシターの性質を併せ持つという。
<環境> 水素製造時CO2回収
東京ガスは、燃料電池などに使用する水素製造時に発生する二酸化炭素(CO2)を分離回収する技術を開発した。都市ガスと水蒸気を化学反応させて水素を取り出した後に、CO2を70-90%含む残りのガスをマイナス20℃で冷却すると液化されて回収できる。この開発により、CO2を出さない水素生産への道を拓きたいという。
<ナノ加工> 絶縁材の研磨不要、次世代半導体
宇部興産と東北大学は、集積回路の表面上に液状の二酸化シリコン系材料を塗布して絶縁部を形成し、研磨を不要にした。絶縁膜は極めて薄いため、研磨する必要はなくなり、歩留りの向上に寄与できるという。
<ナノ加工> 2ナノ電極加工、DNA検出
大阪大学川合知二教授らは、大きさ2ナノメートル(ナノは10億分の1)という微小電極を作る加工技術を開発した。半導体の露光技術を利用して、金属線の一部にくびれを作り、この金属線を基板に固定して基板の裏側から押すとくびれ部分が切れる。力の加え方を変えれば、電極間の幅を数ナノメートルサイズで調節できる。DNA(デオキシリボ核酸)やウィルス、化学物質などの検出に応用可能という。
<マイクロ> 感度3倍、携帯アンテナ
東芝は、携帯電話の内蔵アンテナで、地上デジタル放送など広帯域放送の電波を従来の3倍の感度で受信できる新技術を開発した。2つのアンテナ部品には、2枚の微小電極間隔が数十ミクロンのコンデンサーを4個収めた素子を組み込んだ。2枚の電極間隔が変化することで、受信周波数を10メガずつ切り替えて広帯域をカバーする。同社の携帯電話向けに3-4年後の実用化を目指すという。
<自動車> 新技術で原価30%低減
デンソーは、超小型車「iQ」向けに、体積比20%減の小型エアコンユニットを開発した。新たな樹脂成形技術でファンの羽根を薄肉化、さらに羽根の先端部を中心部より薄くして送風機の軽量化と風量を両立させた。豊田合成は、車体のドア回りに取り付けるトリムの軽量化に成功した。新材料や押し出し成型の新手法で、ゴムを発泡させて軽量化と剛性を両立させた。トヨタ紡織は、次世代型フロントシート骨格を開発した。一体加工をしやすくしたため部品点数を25%削減、15%の軽量化に成功した。以上のような努力で、超小型車で30%の原価低減が可能となったという。
<生産> 誘導加熱用鍋釜の軽量化
新潟県工業技術総合研究所山崎栄一氏、杉井伸吾氏、田村信氏、白川正登氏は、誘導用鍋釜用材料として耐食性に富む高Crフェライト系ステンレス鋼に関する温間絞り加工について検討し、成形性の向上を実証した。常温での深絞り成形性は、SUS430(代表的なフェライト系ステンレス鋼)やSUS304(代表的なオーステナイト系ステンレス鋼)より優れている。加えて温間絞り加工の適用により成形性の向上が可能である。これらの検討結果を、当県の燕・三条地域の鍋釜づくりの軽量化へと展開していくという。
<生産> 金属ガラス摩擦攪拌接合
大阪大学接合科学研究所野城清教授、藤井英俊准教授、中田一博教授らは、ジルコニア基金属ガラスの摩擦攪拌接合(FSW)に成功した。ガラス転移温度(402℃)と結晶化温度(482℃)の範囲で、温度を制御して接合した。これにより、金属ガラスの構造材への利用拡大が期待されるという。
<ロボット> 表情豊かな美女ロボット
産業技術総合研究所梶田秀司ヒューマノイド研究グループ長らは、人間に近い表情を持つ2足歩行の美女ロボット(HRP-4C)を開発した。身長158cm、体重43kg(バッテリーを含む)。エンターテインメント産業への展開を目指す。2009年3月23日に開幕する第8回「東京発ファッションウィーク」に出演する予定しているという。
<医用機器> 新型インフル検出、金ナノ加工
田中貴金属工業と大阪大学微生物研究所・感染症国際研究センターは、新型インフルエンザへの変質が警戒されている「H5N1型」で迅速に検出する試薬を共同開発した。検体を試薬に浸透させるだけで検出できる。検体を試薬に浸透させるだけで検出できる。田中貴金属が持つ、金を数ナノレベルサイズに加工・分散させた「金ナノコロイド」を使った赤色発色の試薬化技術と、同センターが開発した反応性の高い抗体を応用した国内外の企業と提携して販売するという。
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